学術俯瞰講義 2008年冬学期
「137億年の「物質」の旅 −ビッグバンからみどりの地球へ−」
http://www.gfk.c.u-tokyo.ac.jp/
私たちの体を初めとして地球上にあるほぼ全ての物質は81種類の安定な元素からできている。放射性元素を含めても、我々が目にする物質を作る元素は約100種類にしか過ぎない。これらの元素の起源は宇宙にある。137億年前のビッグバン直後と、その後、星の内部や超新星爆発で作られた元素が集積して46億年前に地球が誕生した。
元素は地球上で単体の原子として存在するだけでなく、結びつきあって様々な分子を形成し実に多様な物質を生み出した。水と植物に覆われたみどりの地球で生命が生まれ、進化の結果出現した我々人類は、次第に物質の性質を解明し、ついに天然の物質を幾ばくか操って新たな物質を合成する能力まで持つに到った。
本講義では、物質の起源、性質、合成、および利用について、物理、化学、材料工学の第一人者が平易にその全体像を俯瞰する。最終回は地球環境の持続性と限りある地球という観点から物質の利用を考える。光触媒を例に研究のおもしろさを感じてもらえる特別講義も用意した。理系の学生はもとより、文系の学生も多数聴講することを期待している。
家 担当分
「物質の性質」 家 泰弘 (物性研・物性物理学)ナノサイエンスのリーダー
物理を専門としない人が物理を学ぶ効用は何かといえば、それは「常識がつく」ことではないだろうか。たとえばエネルギー保存則やエントロピー増大の法則や因果律といった物理学の原理に反するような怪しげな超常現象の話を怪しいと判断できる常識である。それでは物理を専門とする者にとって物理の醍醐味は何かといえば、それは「常識が破られる快感」であると思う。講義では、物質科学・物性物理の基本的考え方と、たくさんのサプライズを伝えたい。
第4回 10月29日(水)
現代社会と物質科学、物性物理学とは何をする学問か 講義のppt (ただし動画の部分はなし)
第5回 11月5日(水)
原子から固体へ、多様な物質・多彩な物性 講義のppt (ただし動画の部分はなし)
質問と回答
第6回 11月12日(水)
原子を操る・量子を操る―ハイテクとナノサイエンス第4回 講義のppt (ただし動画の部分はなし)